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高知東店

四国のいのちの不思議です!

投稿日:2019年9月20日 更新日:

 

 

こんにちは。

いつも高知東店のブログをご覧いただき誠にありがとうございます。

 

 

 

先週に引き続き、ご成約プレゼントキャンペーン実施中ですよ!

 

 

SUBARUの総合安全体感フェア』

923日(月)まで開催中です!

 

 

 

 

 

この機会に是非、優れた総合安全を誇るSUBARUのクルマ素敵なプレゼントを手に入れてください!

 

 

 

さて、冒頭にイベントの案内をすることが、あとは好き勝手に書く為の免罪符のように見えなくもないこのブログですが、SUBARUのクルマを通して皆さまに安心と愉しさをお届けしたいと考えており、このブログの記事がドライブのご参考になればと思っておりますので、お構いなければご覧ください。

 

 

先日は新車の慣らし運転も兼ねてドライブに出掛けておりました。

 

 

突然ですが、皆さまは香川用水をご存知ですか?

 

 

その名の通り香川県を流れる農業や工業、上水道の用水ですが、その源はなんと四国山地で隔てられた我が高知県にあります。

 

 

高知県にお住いの方でしたらダムマニアでなくとも長岡郡本山町と土佐郡土佐町にまたがる早明浦ダムの存在はご存知かと思いますが、そんな早明浦ダムは別名「四国のいのち」と呼ばれています。

 

 

高知県にありながら四国のいのちと称されるとはいささか不思議ですね。

 

 

しかし、早明浦ダムに発し下流へと辿ればその所以が見えてきますので、今回は

『SUBARUで巡る四国のいのち〜香川編〜』

のご紹介です!

 

 

スタートは早明浦ダム

 

 

 

この日の天気は晴れで、貯水率は100%でした。

 

 

従ってダムからの放流は水力発電用の最大毎秒60トンほどで穏やかな流れです。

 

 

余談ですが、今回のドライブは可能な限り吉野川に沿って走り、河川の流れを体感することを目的としています。

 

 

 

トンネルや橋梁で渓谷を迂回する大きな国道よりも県道が河川に近い場合はそちらを走りましたが、あまりオススメしません。

 

というのも、河川沿いの県道はトンネルや橋梁といった土木技術が発達する以前の極めて自然地形に近い線形を成しており、また、利用者が少ないことからメンテナンスがほとんど行われていません。

 

その結果、等高線のようにカーブが多く、車幅ぎりぎりの隘路や、仮に幅員が広い箇所でも生い茂った草木が道路にはみ出しており、そこを時折通る軽トラックの車幅程度の隙間しか無い(それ以上の車幅では草木にボディを晒すしか無い)場合があります。

 

私の場合は例え軽トラックのお客様のお宅でもこのクルマで訪問しますのでこういった狭い道やコンパウンドで落ちる程度の線傷には慣れていますが、対向車が来た時の絶望感やこれからの季節の枯れてしなやかさを失い固くなった草でボディを擦る時の音は心臓に良くありませんので、迂回したほうが無難です。

 

また、誤ってそんな道に入った場合、引き返すのも勇気ですので、ダメかもと思ったら早めに決断を下してください。

 

 

そんなわけで通常よりも相当な時間を要しながら移動し次の目的地に到着。

 

 

早明浦ダムから下流へ60kmほど走った徳島県三好市にあるのが香川用水取水工です!

 

香川用水取水工

吉野川右岸側から望遠で撮影

 

 

1.8km下流の池田ダムで吉野川を堰き止め、嵩上げされた水を香川県へと結ぶ導水トンネルに引き込む為の施設です。

 

池田ダム

実は先週もロケハンで訪れていましたが暗かったのでリテイクとなりました

 

 

吉野川左岸側から取水し、正面のフローティングスクリーンやバースクリーンで流木やゴミ等が入らないようにフィルタリングされ、ここから阿讃山脈を貫く約8kmの阿讃トンネルに導水されます。

 

 

阿讃トンネルの断面は徳島工区と香川工区で異なります。

 

 

というのも、TBMとNATMが大活躍です!でもご紹介した山岳トンネル工法の違いにあります。

 

久しぶりのつの図

 

 

徳島県側は従来のダイナマイトを用いた発破工法である為に断面は馬蹄型です。

 

 

一方の香川県側はRTM(アールティーエム:ロックトンネリングマシーン)による施工で、上記のブログでご紹介したTBM(ティービーエム:トンネルボーリングマシーン)と基本的には同じ仕組みなので掘削断面は円形になっています。

 

 

掘削途中、コンクリートの約15倍の硬さである超硬岩に遭遇し、磨耗したディスクカッターのハブベアリングの交換などで相当な苦労をしたようですが、最大月進317.8m最大日進24.1mなど概ね順調に掘削は進み、わずか3年2ヶ月で貫通しました。

 

 

完成した水路勾配は1/1,915、流速1.7m/s、流量15.8㎥/sで約1時間10分かけて阿讃山脈を抜けます。

 

 

ちなみに、大活躍したRTMは貫通後にトンネル内での解体を断念し、阿讃山脈の奥深くへ自身の永眠の場所を求めて掘り進んで行ったそうです。

 

 

RTMの健気さと刹那的な様を想うと涙無しには語れないエピソードですね。

 

非常に見辛いですが取水工の内部

 

ちなみに、この香川用水取水工は徳島自動車道上り線の池田へそっ湖大橋(79キロポスト付近)から左側にご覧いただけます。助手席側の方は是非ご覧ください。

 

香川用水取水工とその背後にそびえる阿讃山脈

ついでに左に写るアーチ橋が池田へそっ湖大橋

 

 

次に向かうのはこの導水トンネルが向かう先。

 

 

香川県三豊市にある東西分水工です。

 

 

ここまでは吉野川沿いを走りましたが、流石に阿讃トンネルはクルマで並走はできませんので国道32号線で阿讃山脈を越えて追いかけます。

 

 

峠の下を通る猪ノ鼻隧道を抜けて最初の信号を左折し、次の信号を左折すると約1kmで香川用水記念公園と書かれた案内看板がありますので左折し1kmほど走ると東西分水工があります。

 

 

ここは吉野川の香川用水取水工から阿讃トンネルで導かれた水が初めて顔を見せる場所で、公園として整備されています。

 

阿讃トンネル出口

 

 

東西分水工のその名の通りここから香川県の東西に香川用水を分水します。

 

阿讃トンネルから流れ出た水は写真中央の沈砂池を通り香川県東西に分水されます

 

 

西側へは西部幹線水路で観音寺市豊浜町方面に、東側へは東部幹線水路で高松市方面に伸びます。

 

 

公園内には水の資料館があり、香川用水だけでなく香川県の水事情について紹介されています。

 

 

基本的にはお子さまの社会科や風土学習用の展示が目立ち、特に3階や資料館前の池には水を使った遊具もあり、遊びながら利水についても学べます。

 

水の資料館

 

 

また、大人の方でも知的好奇心をそそられるような歴史的資料が並び企画展もありますし、公園内には花木園やお花見の出来る広場もありますので、どなたにとっても愉しめる施設です!

 

 

香川用水記念公園

住所/〒769-0402 香川県三豊市財田町財田中2355

入館料/無料

開館時間/9:00〜17:00(入館は16:30まで)

休館日/12〜3月の毎週木曜日(祝日の場合は翌日)

及び12月29日〜翌年1月3日

 

公園内には重力式コンクリートダムを模した可愛らしい橋もあります

 

 

公園内には資料館の屋上を含め3箇所の展望台があります。

 

 

「私と煙は高いところが好き」と申しますし、せっかくですから分水工を俯瞰してみてみたいと思って息を切らしながら登ったのですが、、、

 

 

 

いやはや、どこも案内板に写る在りし日の木々が立派に成長を遂げており、分水工の姿を拝むことは出来ません(笑)

 

 

昭和47年10月の竣工から今年で47年。

 

 

香川用水の変わらぬ流れと、変わりゆく月日の流れを感じますね。

 

 

 

さあ、うまいことも言ったところでお次は資料館で学んだ香川用水の水路調整池を訪ねます。

 

 

東西分水工から分水された東部幹線水路をクルマで辿るとわずか700mほどで水路が途切れてしまいます。

 

(写真上)香川用水東部幹線を辿ると(中)行き止まりのように見えますが、(下)よく見ると財田川サイホンと書かれています

 

 

これから香川県の東の端まで続くはずの水路がこんなところで途切れて大丈夫なのかと思われますが、実はこの先はサイフォンになっています。

 

 

 

用水路の先に既存の河川や道路、鉄道などがある場合はいくつかの方法でそれらを回避します。

 

 

一番イメージしやすいのは水路橋水管橋ですが、河川の下を回避するような場合はサイフォンの原理を利用したサイフォントンネルが有効的です。

 

 

一般的なサイフォンは灯油ポンプのように一度上へと持ち上げた水を低い位置へと運びますが、サイフォン水路ではこれを逆さにして、水路トンネルの出口を入口よりも低くすることでポンプなどを用いずに下へと迂回することを可能にしています。

 

サイフォン水路のつの図

 

 

 

香川用水では水の流れが外から見られる開水路と呼ばれる開渠部はわずか15%に過ぎず、トンネル34%パイプライン26%サイフォン20%暗渠5%のようにそのほとんどが暗渠部となっています。

 

 

そんなサイフォンの行方を追って川を渡り山を越えたところにあるのが平成20年に完成した香川用水調整池です!

 

香川用水調整池左岸側から

 

 

 

香川用水調整池はリヤワイパーが大活躍です!に登場する大乗池と同じ、主に土を台形に盛ったアースダムです。

 

 

香川用水調整池のダム湖は宝山湖と呼ばれており、「たからだ」とも呼ばれる財田町と山本町に跨ることと、香川県にとって宝である水が山のようにある湖という願いを込めて命名されたそうで、香川用水から節約した水道用水を一時的に貯留させ、渇水時や災害時に備えます。

 

 

 

総貯水容量307万㎥を湛えており、これは香川用水から県内に供給される水道用水の約2週間分に当たります。

 

 

ところで、香川用水の全ての建設事業は昭和56年に完了したはずなのですが、こちらの調整池は平成20年の竣工となっています。不思議ですね。

 

 

香川用水の完成から13年後の平成6年、7月下旬に早明浦ダムの貯水率が下がり香川用水では農業用水の取水が停止され、水道用水も1日5時間の取水制限が設けられるほどの非常事態が発生します。

 

 

7月25日には台風が近付いたことで香川用水取水工のある池田ダムへの流量が増し香川用水の取水制限が3日間ほど全面解除されました。

 

 

その間に農業用水に関してはため池に貯留出来ましたが、水道用水は貯留する調整池を持たなかったことからせっかくの天の恵みをみすみす取り逃す結果となり、この苦い体験から宝山湖の必要性が高まり平成11年に着工されました。

 

 

お陰で今日では万が一の際には宝山湖から県内4カ所全ての浄水場に水道用水を配水できるようになりました。

 

 

ダム湖沿いにも香川用水のサイフォンが見られますよ!

 

香川用水東部幹線 和光第四サイホン

 

 

ダム湖沿いは歩行者専用となっており、全周は約3kmですので散策される際は時間と相談してみてください。

 

 

宝山湖からクルマで20分ほど走り、琴平町の香川用水管理所宝山湖のダムカードをいただき、この日の最後の目的地である特徴的なサイフォンの見られる金毘羅トンネルに向かいます。

 

道路は行き止まりですが階段の上にトンネルが見えます

 

 

金毘羅トンネルの名の通り、金刀比羅宮の御神体である象頭山にある御本宮と奥社の中間の真下を貫くため、導水トンネル建設当時はその土地ゆえに補償交渉が難航すると思われていた場所でした。

 

 

しかし、当時の宮司は象頭山を抜ける香川用水で香川県民が恩恵を受けるのならこんぴらさんも本望だろうと、一文の補償も求めず快諾されたそうです。

 

 

 

そんな素敵なエピソードの金毘羅トンネルの出口はサイフォンの入口にもなっており、象頭山から流れ出る香川用水が讃岐平野の地下へと吸い込まれる様子がご覧いただけます。

 

 

こうして高知県の早明浦ダムから徳島県の香川用水取水工、香川県の東西分水工を経て宝山湖と金毘羅トンネルを巡る5時間の旅を終えました。

 

 

クルマを使った香川用水のフィールドワークのご参考になればと思い、参考までに今回の日程を記しておきます。

 

11:30早明浦ダム出発

移動1時間30分

13:00香川用水取水口(所要時間30分)

移動10分

13:40池田ダム(所要時間10分)

移動30分

14:20香川用水記念公園(東西分水工)(所要時間1時間10分)

移動10分

15:40宝山湖(香川用水調整池)(所要時間20分)

移動20分

16:20香川用水管理所(所要時間2分)

移動10分

16:30金比羅トンネル(所要時間10分)

 

合計時間:5時間10分

移動距離:115km

 

 

 

 

 

早明浦ダム以前と金比羅トンネルより後の時間や距離は含まれていません。

所要時間、移動時間ともにおおよその数字で、見学方法や交通状況により大きく変動します。

香川用水取水口は対岸から写真を撮る為に時間が掛かりました。施設そのものを訪ねるだけなら10分程度です。

大豊ICから井川池田ICまで高速道路を利用すれば大幅にタイムを短縮することも可能ですが、今回はあくまでも早明浦ダムから発する流れを体感するというコンセプトでしたので吉野川と並走する国道32号線を走っています。

これからの季節は大歩危、小歩危など紅葉も愉しめるかと思いますのでオススメです!

 

 

 

いかがだったでしょうか?

 

 

高知にある「四国のいのち」が阿讃山脈の向こう側にある香川県を潤すインフラに対し、このブログをご覧になった皆さまが少しでもご興味をお持ちいただけると幸いです。

 

 

私自身も蛇口を捻ると水が出てくることが決して当たり前のことではないと再認識する旅となりました。

 

 

皆さまも行楽の秋に是非!

 

 

実るほど頭を垂れる稲穂も水あってこそ

 

 

 

『四国のいのちの不思議』と銘打っておきながら今回の主役は香川県。四国にはまだ高知・愛媛・徳島が残っています。ということでこのシリーズ、今後もちょくちょく続きます。

9/20 つの

10/6訂正 行程地図の「香川用水取水工」を「香川用水分水工」と誤って記載しておりましたので、お詫びして訂正いたします

3/20追記 東西分水工の展望台からの写真を撮ってまいりました!『お子さま連れだけでなく、ご夫婦やアベックにもオススメです!』をご覧ください。

前回:それぞれのおニューです!

次回:バロックピッチのブレッサンです!

 

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